2011年11月24日木曜日

【ゲーム開発】制約/おこげ

ヨコオタロウの日記-The-Legend-of-Zelda-Skyward-Sword.jpg


うん。
あの、ぼくは『マリオ64』のとき、
ずーっとつくってるあいだに、
途中で、つまらなくなってることに
気がついたんですよ。

/ 宮本茂



横になると咳が出るので日記でも書キマス。



「制限」が創造性を高める理由
http://bit.ly/sQkttl

「何でも好きなゲーム作れるとしたら何を作りたいですか?」って話を聞かれる度に「何かしらの制約があった方が好きです」って答えてる訳ですが。

ただ、上記サイトの「全体を捉える能力」がどうこう、ってのはあんまり関係なくて、

 ・「何でもイイ」と言いながらどうせ制約がある。
 ・可能性の幅が大きすぎて絞り込みに時間がかかる。

このあたりが理由ですかね。
あとはある程度の前提や制約があった方が、周囲の人は「どうせこんなんでしょ?」と思ってくれるので、予想をひっくり返す事が出来る、ってのもありますけど。



糸井さんとのクリエイティブの雑談。
http://www.nintendo.co.jp/wii/interview/souj/sp/index.html

面白いです。
いいなあ。宮本さんとか神レベルを超えて神なんじゃないですかね。現人神。ゼルダ楽しみ過ぎマス。
こんな人達に「カラスは白い」って言われたら「オジキが白いっつーんじゃから白いんじゃ。黒いカラスなんぞ皆殺しにしちまえ!」とか言って銃乱射しそう。そのくらい指示を鵜呑みにしそうですわ。

そんな中でちょっと面白い記事が。

8. つぎに進む話、進まない話
http://www.nintendo.co.jp/wii/interview/souj/sp/index8.html

この項、意外とプロデューサー視点で、ディレクター的な観点から見るとモニョッとする人は多いんじゃないかなー。宮本さんとか糸井さんみたいな優れたプロデューサーばっかりじゃないですから。指示が的外れな事が多い訳で。

ということで、上の記事をディレクター視点でリミックスしてみました。出演者はヨコオと横尾と岩崎さん(勝手に出した)。
※上記原文を読んでないと全く面白く無いので要注意。

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ヨコオ
こういうものがよくて、こういうものがよくない、みたいなことがまとまってたら教えてください。

横尾
あの、その人が一所懸命考えてきて、張り切ってプレゼンしたものに対してそれはこうすべきじゃないかな、ってプロデューサーがいちゃもんをつけたときに、「ああ、それも考えたんですけど・・・」っていう反応をした人は次に通りやすくなる傾向がある。

ヨコオ
ああ、そうですか。その方向を一度は考えているということ?

横尾
いや、一切考えていなくて単にその場での切り返しで。実態としては全く考慮した事もないし、考慮する必要もなかったような内容で。

ヨコオ
企画としては全然必要無いんだけど、プレゼンの場をうまく進めるときに・・・。

横尾
そうそう、プレゼンの場で話しているうちに、
「なんか、妙に違うな」っていう、不必要な先方の意見を処理出来るときは大丈夫なんです。

ヨコオ
うんうんうん。

横尾
そういうときに、別に全然必要ないんだけど、きちんと「ほんとはそうだったんですけど」って言える人はつぎにつながる。
でも、「それはほんとはこうでしょう」と言ったときに「いや、ぼくはそうだと思いません」って、パーンと返しちゃうような人は、それっきりですね。

ヨコオ
ああ、ああ。わかった。要するに、事実を口にしちゃう人はダメなんだよね。

横尾
そうです。

ヨコオ
なんかプロデューサーって、俺達はお客さん目線でいいことを考えられるんだから、もっともっと自分たちをちゃんと頼ってくれ、みたいなところがあるよね。

岩崎
ああーー。

横尾
「そうは思いません」だと、それに取り組むまえに終わってしまうんですよね。

ヨコオ
だから、商品論みたいな話でいうとさ、なんだろうな、たとえば料理でさ、なかなかイイ視点だけど、実際には関係ないものってあるじゃない?パリパリ麺の餡かけ焼きそばは、名前と違って揚げてるからコゲ風味自体は発生しないじゃない。そうすると、大きい企業が餡かけ焼きそばを出すっていうときにコゲの風味は関係無いだろうっていう話になるじゃないですか。

岩崎
はい、はい。

ヨコオ
で、普通は、餡かけ焼きそばって、コゲは関係ないですよね、ってことで終わっちゃうんだけど、プロデューサーが「屋台のコゲた味が焼きそばに必要だ」みたいな余計な話を入れてくる場合は「そのコゲがなんともいえず
香ばしくて美味いんですよね」って返す必要がある。

横尾
うん。

ヨコオ
そうすると、じゃあコゲをどうしようかっていうことで現場の人に渡しちゃったり混乱しますよね。でも、会議でコゲの話に上手く合わせていかないと、プロデューサーの機嫌がどんどん悪くなっていくだけになる。

横尾
そういう感じ、そういう感じ。

ヨコオ
「そうなんですよね・・・」の先に転がしていかないと、そうなっちゃう。

横尾
思いつきのアイデアなんて、殆どは使えないモノばかりですからね。

ヨコオ
ああ、そうだね。

岩崎
そこには、勘違いの作家性と個性しかないので。

横尾
でも、その人がおコゲの話をしたときに、「そうなんですよね・・・」って、まずは言わないと、もうアウトなんです。

ヨコオ
そうですね。

横尾
「いや、わかるんですけどねぇ、 こういう理由で難しくて・・・」っていう話をすれば、じゃあ、そこをなんとかしようっていう次のアイデアの話になるんで。

岩崎
そんな、不必要なアイデアを出す事になるんですか。

横尾
そうです、そうです。

ヨコオ
自分はほんとうは不必要だと思ってるんだけど、クライアントやプロデューサーはそれを許さないだろう、って想像する必要があるんですよ。だから、まずは、「わかりますよ」って言ってあげればいいんですよね。

横尾
うん。だから、実際の会議でもあるんですけど、「そこ、御社としては大丈夫ですか?」ってぼくがプロデューサーさんに確認して、プロデューサーさんに「俺が通しますよ」って答えさせてあげると、話が、つぎの段階に、ひとつ進むんですよ。

岩崎
はい。

ヨコオ
わかるわ。
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ちなみに、僕はクライアントさん相手でも「は?パリパリの餡かけ焼きそばにオコゲ?ないわー勘違いにも程があるわー」とか普通に言っちゃうタイプです(キリッ)。

え?今まで付き合ったクライアントさんにそんな人が居たかって?いや、今までの方は皆さん素晴らしい方ばかりで無理難題を言う人なんて一人も居ませんでしたよ……え?は?ああ、餡かけ焼きそばにオコゲ?なるほど。それは思いつきませんでした。是非現場に持ち帰ってスタッフ一同と打ち合わをさせていただ……(もみ手をしながら遠ざかる様子)。


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