2012年3月15日木曜日

【日記】1%の偽善

ヨコオタロウの日記-510gH7qN2eL.jpg


偽善とは、不徳が徳に対してほんのわずか捧げた敬意である。
/ ラ・ロシュフーコー



昨日はホワイトデーでした。伊勢丹の地下に行ったら大変な混雑っぷりで。気の利いた小さなチョコとかは軒並み売り切れておりました。きっと当日になって「あ、しまった」と思ったウッカリ男子が大勢詰めかけたんでしょうね。

で、ウッカリ行列に一緒に並んできた訳ですけど。



で、まあそんな日ですが、郵便局に行って赤十字に寄付をしてきました。
東日本大震災の義援金です。

最初にお断りしておくと、今日は全部「ヨコオ個人の話」であって、これを読んでいる皆さんにどうこうして欲しいという話でありません。あくまで日記という事で。



震災そのものについては以前に 4Gamer さんでコメントさせて頂いた事
http://www.4gamer.net/games/000/G000000/20110323036/index_3.html
これが全てなので割愛します。

で、その時に思った訳です。「これは大変だ。さすがに募金しなきゃ」って。

ボクはとてつもなくケチです。吉野家で牛丼(350円……じゃなくて380円でした。謹んで訂正させていただきます)にしようか牛鍋丼(280円)にしようか悩むレベルでケチです。ちなみに牛鍋丼を普段食べていると、たまに牛丼を食べた時に「うはあ超肉が多い!」リッチな気分になれます。

そんなケチケチ大臣な自分ですら「募金しなきゃ!」という気分にさせた事からも、アレがいかにヒドイ災害だったのかが判ります。



災害後、色んな人が募金を表明していました。
僕の周囲でも募金した人が沢山居ましたし、ニュースでも各国からの募金が大量に集まっている事を伝えていました。

大量の募金が集まったのはテレビで延々と震災現場の映像が流された事もあるかと思います。「テレビは悲惨な映像を流すばかりで Twitter
みたいに有益な情報は流さなかった」という話がありますが、悲惨な映像というのは憐憫の情を引き起こし「募金しよう」という気分にさせますから、あれはあれで無駄ではないと僕は思うんですけど。



で、コンビニとかの募金箱の前で考える訳です。

「一体いくらが妥当なんだ?」

募金するほとんどあらゆる人がぶつかるであろうこの疑問。
財布に入っているお札をガッとつかんで突っ込めばイイ気もしますが、それはたまたま財布に入っていただけで自分が払うべき妥当な金額では無い気がします。

上のテレビの話でも書きましたが募金なんてものは「気分」です。その「気分」が空気感になり、大量の募金を集めました。

ただ、僕の仕事は大きな意味では人の感情を動かす仕事です。自分の「募金したい」という気分がメディア報道と周囲の空気感によって生み出されている事を自覚していました。

「気分」なんてものは不安定です。僕は自分の「気分」が妥当な金額を計算出来るとは思えませんでした。



で、僕のたどり着いた結論はこうでした。

「まあ大量に募金も集まっているようだし、僕は冷静になってから募金しよう。うん。それがいい」

これ、絶対に絶対にマネしないで欲しいです。みんながこんな事言い出したら全く募金は集まらないと思います。「募金しよう」なんていう気分はいずれ冷めますから。だから絶対にマネしないでください。

冷静になる期間を1年。その時にまだ義援金を必要としているようだったら拠出しよう。そう決めました。もし義援金が十分集まっているようだったら別の寄付をすればいいや、そんな感じで。

で、1年後。義援金は相変わらず募集していました。



次はどこに募金するかです。
まあ、あまり考えても仕方無いので赤十字に送りました。
義援金で出せば全額被災者に回る事や確定申告で使える事も魅力的です。

義援金は、確定申告で寄付金控除しよう!
http://allabout.co.jp/gm/gc/13948/

ま、実際に見ている訳ではないので、本当に正しく使われているかどうかは判らないですけど。



で、次に決めるべきは金額。
最終的には「年収の1%」としました。

年収100万円なら1万円。
年収1000万円なら10万円。
年収一億円なら100万円。

牛鍋丼で悩む自分には結構な金額ですが「一年のうち3日間くらい被災地支援に行って収入が無かった」と考えれば大した金額じゃないです。なんかソーシャルゲームで高額課金をした後に「○○を買ったと考えれば」的な飛躍した発想ですが。

しかし僕は無職なので働いていた最後の年の年収を参考にしました。手取りじゃなくて額面です。手取りはいくらだったか憶えていないです。



無職で募金とかどうなんだ?という気もしますが、貯金も一応あるのでそこから。年収の1%くらいで未来の生活が怪しくなるなら、それは払っても払わなくてもどのみち大差無いでしょう。

ということで、僕の心の中の経理担当が「1年に1回、年収の1%くらい募金をするなら仕方無いでしょう」と囁いてくれたのでそう決めました。



他に投資すべき案件と比較してどうなのか?
たとえば「身近な友人」だとか「別の災害」だとかを助けた方がイイのではないだろうか?という問題については

「ま、そっちはそっちで考えるよ」

という結論に到達しました。なので、そっちはそっちで考えます。
そして募金した事を公開するかどうか?という点ですが、これは「1年後のブログのネタにしよう」と決めました。

というかですね。その1%はブログのネタ代です。コンテンツ代。
何かの役に立てないと気が済まない。ケチは無駄な金を遣わないんです。



やってみると判りますが、周囲が募金しまくってるときに募金しないというのは結構シンドイです。未来に募金すると決めたものの、それは確実ではないですし、その説明をする事も出来ません。ギギギ。

そして、1年経って世の中の募金熱が過ぎた頃にブログに書いても盛り上がりに欠ける訳です。そんな「一体自分は今頃何やってるんだろう……」感。

こういう人生の苦みを味わえるようになって、ようやく大人の男だと思う訳です(精一杯の強がり)


何事もままならないなあ。
それでは。


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